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五十肩ふたば鍼灸院(大阪市の鍼灸院)

「肩に痛みがでて少し動かすのも激痛が走る」「急に肩痛が起こり、動かせない状態」という経験がある人はかなりおられます。いわゆる「五十肩」という状態です。

肩は非常に複雑な関節になっており、さまざまな要因が絡んで、痛みが出たり、可動域の制限が起こったりしてしまいます。腕が動かせないと日常生活にかなりの支障が出てしまいます。多くの肩痛に鍼灸治療が有効ですので、しっかりと治療を行いましょう。

五十肩について

肩関節の周囲に炎症が生じて痛みが起こり、肩を動かしにくくなるのが、「肩関節周囲炎」、いわゆる五十肩です。通常は、片側の肩に起こります。原因となるのは主に次の2つの部位です。

・関節包…関節の中の「関節包」という薄い膜に炎症が起きて痛みが生じ、炎症が持続すると、硬く縮まって関節が締め付けられ、肩が動かしにくくなります。

・滑液包…関節周辺で、動きを滑らかにする役割を持つ「滑液包」が骨や腱板と癒着すると、肩が動かしにくくなります。

五十肩の症状

3つの病期

五十肩は症状によって、次の3つの病期に分けられます。

・急性期…発症から約2週間。強い痛みがありますが、肩の動きは保たれます。「安静時でも痛い」「睡眠中に目が醒めてしまうほど強く痛む」などが痛みの特徴です。

・慢性期…発症後約2週間から6か月前後。痛みは治まり始めますが、肩の動きは制限されます。

・回復期…発症後約6カ月以上。痛みはほとんど治まり、肩の動きも徐々に回復してきます。

病期に合わせた治療

五十肩の治療は、それぞれの病期に合わせて行われていきます。

・急性期の治療…痛みが強いので安静にするのが基本です。肩を動かすことはできますが、この時期には無理に動かさないことが大切で、痛みを生じない範囲の動きにとどめます。多くの場合、炎症や強い痛みを抑えるため、非ステロイド系消炎鎮痛薬が用いられます。それでも痛みが軽減しない場合は、ステロイド薬の注射が行われることもあります。

・慢性期の治療…急性期に比べて痛みは治まります。一方、肩関節が固まって動きが悪くなるため、少しずつ肩を動かしていくことが大切です。温熱療法で筋肉の血流をよくし、動きを改善していきます。肩関節の動きをよくするために、「潤滑油」としての働きをするヒアルロン酸を肩関節の中に注射することもあります。

・回復期…痛みは徐々に治まっていきます。肩関節の動かせる範囲(可動域)が狭くなっているので、積極的に運動療法を行って、動かせる範囲を広げていきます。

回復期に運動療法を継続しても、なかなか肩関節の動きが回復しない場合には、関節包の「バンピング・破裂処置」が行われることがあります。これは、硬く縮まっている関節包の中にステロイド薬入りの局所麻酔剤を注射して膨らませ、関節包に裂け目を生じさせるものです。関節包内の圧力が下がり、肩関節を動かしやすくなります。

また、バンピング・破裂処置を行っても肩関節の動きが思うようによくならない場合には、「鏡視下関節包解離術」を行うことがあります。これは、肩に小さな穴をあけ、そこから関節鏡という内視鏡を挿入し、関節包に切れ目を入れたり、骨や腱板と滑液包の癒着をはがしたりするものです。

なお、関節包の裂け目や切れ目は自然に修復されていきます。

腱板の障害

いわゆる五十肩というのは、あくまでも「強い肩の痛みが起こり、動かせなくなる状態」を言っており、さまざまな病態を含んだ総称となっています。そのため、関節包や滑液包の炎症以外にも、五十肩に含まれる状態というのがあります。その一つに、「腱板の障害」があります。

肩はいくつもの腱が骨を包み込んでおり、その腱につながった筋肉が収縮することで腕を上げたり下げたりしています。

肩関節の中にある腱板のうち、障害が起こりやすいのは上の腱板です。例えば、腕を上げ下げするときには、上の腱板が腕をつり上げるように働きます。片方の腕の重さは、成人男性で約6kg前後、成人女性で約5kg前後あるので、上の腱板には大きな負担がかかっています。また、腕を動かすとき、骨と靭帯の下の狭い空間を出入りするため、擦れて擦り減ったり、裂けたりしやすいのです。

腱板に起こる主な障害には「腱板断裂」と「石灰性腱板炎」があります。

・腱板断裂…腱板がすり減ったり、裂け目ができたりします。ゆっくり進行した場合は、痛みはあまり起こりませんが、炎症が起こったり、転倒して手を着いたり肩を打撲したりして、急に断裂が起きたり、断裂が広がったりした場合には痛みを伴います。

・石灰性腱板炎…加齢によって弱くなった腱板に石灰が沈着する障害です。石灰部に炎症を生じる場合や、肩を上げ下げするときに石灰によって盛り上がった部分が肩峰や靭帯に引っかかる場合に、痛みが起こります。石灰の沈着が急激に起こると、痛みが生じることがあり案す。

腱板断裂の治療

腱板断裂の場合、高齢者では、日常生活の中で若い世代ほどには肩に負担がかからないことが多いため、痛みを緩和して肩の動きをよくする保存療法で、患者さんの多くは日常生活を送ることができるようになります。

保存療法には、薬物療法(非ステロイド系消炎鎮痛薬、ステロイド薬、ヒアルロン酸の関節内注射、トリガーポイント注射など)、運動療法、温熱療法などが含まれます。

保存療法で改善しない場合や、一般に日常生活の活動性が高く、仕事や運動などで肩を使うことも多い50歳代くらいまでの患者さんの場合は、断裂した腱板をもとのようにつなぐ手術療法(腱板修復術)が検討されます。

石灰性腱板炎の治療

石灰性腱板炎は、腱板に急激に石灰が沈着する急性型と、石灰が沈着した状態が続く慢性型に分けられます。

・急性型…激しい痛みが急に起こります。患部の付近にステロイド薬を注射すると多くの場合、痛み翌日にとれて、動きも回復します。なお、沈着した石灰は、通常、短期間で吸収されて自然に消失します。

・慢性型…ステロイド薬の注射で痛みを和らげるほか、石灰を注射器で吸引したり、摘出する手術を行います。腱板の上の骨を削る手術を行うこともあります。

鍼灸治療

鍼灸治療は五十肩に対して非常によく効きます。「肩がものすごく痛い」「夜も眠れないくらいつらい」「痛みで動かせない」と訴えて来院される患者さんが多いです。ちなみに、五十肩という呼び名は年齢が50歳代前後の人によく起こるということからついたものですが、実際には40歳程度から70歳を超えても起こることがあります。

まずは、しっかりとした問診を行い、現在どのような状態なのかを見極めます。左右どちらの肩が、いつから、どこが、どのように痛いのかを聴いていきます。特に「こういう風に動かした時に、ここが痛い」「こうしたら(温めたりしたら)痛みは楽になる」などの情報は必ず聴き取るように心がけています。

五十肩というのはおおよその場合、痛みがあるが何とか動かせる急性期、痛みは少しマシになったが肩が固まって動かなくなってきた慢性期、少しずつ肩が動かせるようになってきた回復期、という3つの病期があるので、まずはそれを説明することになります。おおよそ半年から1年ほどかけて自然に治っていくものであり、「一生このまま痛みがある、肩が動かない」ということはないということをわかってもらいます。

治療の目的として「自然に治るよりも早く治るようにする」ということを目指します。痛みが出てすぐに来院された場合には、すぐに治療を行い、肩が固まってしまわないようにすることを目指します。もうすでに肩が動かない状態という場合であれば、なるべく早く、半年以内には肩が動かせるようになっていることを目指して治療を行っていきます。

治療は鍼も灸も行います。患者さんに「ここが一番痛い」という場所を教えてもらい、そこに鍼をすることが多いです。その際、鍼は深くは刺さず、皮膚に沿って浅く横方向に刺していきます。そうすると、鍼の鎮痛効果を引き出しつつも、鍼のあとにだるさなどが出ることを防ぐことができるからです。

肩関節の痛むところ以外にも鍼や灸は行います。肩の動きというのは腕や背中、腰などと連動して起こっており、肩が痛かったり動かないと、ほかの場所にまで影響を与えてしまいます。そこで、肩以外のツボも使用することで、肩の痛みや動きが改善されやすくなります。

前腕で肘の下方にある「手三里」や後頸部の「天柱」、肩甲骨の中心にある「天宗」などがよく使われます。特に肩甲骨回りのツボは肩を動かすために必要な筋肉が多いので、灸頭鍼を行って広い範囲で筋肉の緊張を緩ませることも効果的です。

五十肩・天柱・天宗・手三里

また、足の脛にある「豊隆」というツボなども肩に効果のあるツボですので、使用することがあります。

これらの治療を患者さんに合わせて適宜行っていくと同時に、病期に合わせてどのような運動療法を行えばいいかをアドバイスしていくことで、少しでも早く腕を普通に使える状態に戻していきます。

症例

40歳代・女性

ある日、急に左肩に痛みが出てきました。しばらくしても痛みが続いていたので、病院を受診してみると「五十肩」であると言われたそうです。痛みどめの注射を打ち、運動療法を行うように指示されたといいます。

しかし、自分で運動を行うのが面倒に思ってしまい、ついサボってしまったそうです。すると、左肩の痛みは残り、腕も動かせなくなってしまいました。鍼灸治療でどうにかならないかと来院されました。

問診をとってから、体を触診していきます。この方は特に左の肩甲骨まわりの筋肉が張ってしまい、うまく動かせなくなっていました。そこで、肩甲骨が動かしやすくなるように治療を行っていくことにしました。

肩まわりの鍼に加えて、肩甲骨周辺を灸頭鍼を行い、筋肉を緩めていきます。「肩井」「天宗」「心兪」や「腎兪」などといったツボへ灸頭鍼を行いました。

治療を行いつつ、話を伺うと、肩が痛いので家事をするときもなるべく左手を使わないようにしていると言っていました。そこで、治療を行い、少し痛みがマシになってきたころを見計らって、なるべく日常生活でも左手を使うように意識してほしいとアドバイスを行いました。普段から左手を使っていれば、運動療法の代わりになるからです。

治療を続けると、3か月ほどで「多少痛みがあることはあるが、動かすのは平気になった」とおっしゃっておられました。

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