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うつ病ふたば鍼灸院(大阪市の鍼灸院)

「うつ病」という名前の病気を聞いたことがないという人はいないのではないでしょうか。「気分が落ち込む」「やる気がなくなってしまう」「食欲がない」などといった症状が現れて、活動性が低下してしまう病気です。このうつ病は誰しもがかかってしまう可能性のある病気ですが、適切に治療を行えばよくなる病気でもあります。もしかしてそうかな?と思ったらすぐに受診して治療を行うようにしましょう。

どんな病気?

嫌なことやつらいことがあれば、だれでも気分が落ち込みます。しかし、こうした「うつ」はある程度の期間が過ぎれば自然に回復していきます。

ところが、うつ病によるうつはもっと程度が強く、しかも長期にわたって続きます。また、抑うつ気分だけでなく、さまざまな精神症状や身体症状を伴うのが特徴です。

うつ病のタイプ

うつ病・うつ状態と診断される障害は、大きく3つに分けられます。

・大うつ病…症状は強いのですが、ある程度の期間が経過すればよくなっていくことが多いタイプです。一般にうつ病というと、大うつ病のことを指します。

・気分変調症…症状はあまり強くないのですが、慢性化するタイプです。症状が少なくとも2年間は続きます。

・双極性障害…うつ病相と、気分が異常に昂揚する「躁病相」が現れるタイプです。

今回は主に大うつ病について書いていきます。

うつ病が起こりやすい年代

年代別自殺者数のデータを見ると、男女を合わせると50~60歳代をピークに、30~70歳代に多く、働き盛りにも、高齢者にも多いことになります。女性に限ると、20~30歳代と50~60歳代にピークがあります。これは、産後と更年期にうつ病の発症が多くなるためと考えられています。

それぞれ、次のような原因が関係していると考えらています。

・働き盛り…失業や多額の債務など、過酷な労働環境が大きなストレスになります。

・高齢者…退職などで社会との交流が減ったり、配偶者や身近な知人との死別を経験することが背景となります。身体的な衰えや重い慢性疾患があることも原因になります。

・産後…女性ホルモンの分泌の急激な変化に加えて、子育てによる生活環境の急変が背景となります。

・更年期…女性ホルモンの分泌が変化します。また、子供が巣立っていく喪失感や、親の介護によるストレスなどが原因となることがあります。

サインに気づこう

うつ病の多くは、適切な治療によってよくなります。そのためには、うつ病のサインに早く気付くことが大切です。

ただし、うつ状態が現れる、うつ病によく似た病気もあります。精神科などの専門の診療科を受診して、診断を受けることが大切です。

うつ病のサイン

症状

うつ病で現れる症状は、「精神症状」だけとは限りません。精神症状と一緒に、さまざまな「身体症状」も現れます。

また、1日のうちでも症状の強さが変化する「日内変動」も、うつ病の大きな特徴です。一般に、朝は症状が悪化し、午後から夜にかけて徐々に改善していきます。

・主な精神症状

うつ病で現れる主な精神症状には「気分の落ち込み」「憂うつ感」「億劫さ」「意欲の低下」「判断力の低下」などがあります。

また、自殺をしたいという思いが強まるため、自殺のリスクが高まります。

・主な身体症状

うつ病で身体症状が現れるのは、体の調子を一定に保とうとする「自律神経系」「ホルモン系」「免疫系」といったシステムの働きが、うつ病によって影響を受けるためです。

これらのシステムは、脳などの「中枢神経」の影響を受けて働いています。うつ病では、脳の機能に失調が起こっており、それが自律神経系やホルモン系、免疫系にも影響して、これらのシステムが失調をきたしてしまうのです。

自律神経系の失調は、「脈が速くなる」「汗をかきやすくなる」「下痢」などの身体症状につながります。また、ホルモン系の失調はさまざまなホルモン分泌に影響して、「のぼせ」「冷え」「発汗」といった症状を引き起こします。免疫系の失調は、細菌やウイルスに対する抵抗力を弱め、かぜをひくなど、感染症を起こしやすい状態を作ります。

西洋医学的治療

うつ病の治療はなるべく早い段階で開始し、なかなか良くならなくても焦らず、諦めずに治療を続けることが大切です。再発することが多いので、十分な期間、治療を続けていきます。

うつ病の治療でまず必要なのは、しっかりと休養をとり、ストレスを軽減することです。若い人の場合は、1~2か月休んでも軽快せず、職場復帰などが難しいことがあります。このような場合は、治療を受けるだけでなく、復職のためのリハビリテーションを開始すると効果的です。

治療では、休養・ストレス軽減と並行して、「薬物療法」「精神療法」「環境調整」が行われます。

薬物療法

うつ病の薬物療法では、「抗うつ薬」が中心となります。うつ病では脳の神経機能が失調しています。抗うつ薬は神経細胞間の情報伝達を行う「神経伝達物質」のバランスを改善し、機能を回復させます。主な抗うつ薬には次のような種類があります。

・SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)…脳内の神経伝達物質「セロトニン」のバランスを回復させます。不安や、強迫(こだわり)に対する効果もあると言われています。

・SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)…セロトニンと、同じく脳内の神経伝達物質である「ノルアドレナリン」のバランスを回復させます。

・ミルタザピン…日本では2009年に登場した薬です。セロトニンとノルアドレナリンのバランスを回復させます。

・三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬…古くから使われている薬で、副作用も現れやすいのですが、抗うつ効果が高いことが翌朝です。SSRIやSNRIで効果が得られなかった人に良く用いられます。

抗うつ薬の効果が現れるのは、薬によっても異なりますが、服薬開始後2~6週間経過してからです。それまでは、たとえ効果が現れなくても、指示された通りの量の薬を飲みつづける必要があります。

精神療法

精神療法とは、患者さんと医師、あるいは臨床心理士などの専門家が、対話の中で問題を発見し、解決方法を探ったり、患者さんの悩みをサポートしたりする治療法です。精神科の通常の外来で、「支持的精神療法(カウンセリング)」として行われています。

そのほかにも、特殊な精神療法として「認知療法」があります。これは、考え方の癖を修正していく治療法です。

対人関係によるストレスが原因の場合には「対人関係療法」が行われます。対人関係によるストレスは、強固なことが多いので、上手に人間関係を築く技術を身につけます。

環境調整

環境によるストレスが、うつ病の原因になっていることがよくあります。そのような場合に、ストレスの原因を整理し、人間関係や仕事の内容などを改善していく治療法を「環境調整」といいます。患者さんが環境に適応しやすいように支援する治療法です。

例えば、職場のストレスが原因であれば転職や配置転換をしたり、一人暮らしの高齢者なら家族と同居したり、地域の集会に参加したりすることで、乾姜によるストレスを緩和することを目指します。

入院するケースもある

うつ病の治療は、一般的には通院して外来で行われますが、次のような場合は入院を考える必要があります。

・自殺したいという思いが強いとき…外来では自殺を防ぐことが難しいこともあるので、自殺への思いが弱まるまで入院が必要です。

・ほとんど食事がとれず、衰弱が激しいとき…極端に食欲が低下すると、衰弱することがあります。高齢の患者さんによく見られます。

・イライラ感が強いとき…焦燥感が強く、いてもたってもいられないようなときは、破壊的な行動や暴力的な高度をとることがあります。

・自宅では静養できないとき…小さな子供がいたり、家事が気になるなどの理由で、自宅では十分に休養ができないときにも入院を検討します。

・慢性化している時…うつ病が慢性化している時にも、入院治療が効果的なことがあります。

うつ病の経過

周囲のサポート

うつ病を発症する前の生活に順調に復帰するには、周囲のサポートが必要です。このサポートは、再発の予防にも役立ちます。

また、うつ病の患者さんの自殺が問題になっていますが、自殺を防ぐためにも周囲のサポートが必要です。自殺は、うつ病の症状が重いときだけでなく、軽くなって社会復帰が近い時期にも多い傾向があります。そういう時期にこそ、周囲のサポートが重要です。

したがって、家族はなるべく患者さんに同行して通院し、医師からアドバイスを受けるようにしましょう。

働き盛りの場合

休養をとり、薬物療法や精神療法を受けると、3か月ほどで症状は改善されますが、ここで職場への復帰を焦ると病気は簡単に悪化してしまいます。この段階では、調子の良い状態を保つことが大事です。朝夕の散歩や図書館で数時間読書をするなどのリハビリテーションを行って、気力と体力の回復を図ります。

職場復帰するときも、いきなり以前と同じように仕事を始めてしまうと、再発につながることがあります。急に負担がかからないように、仕事の内容や量について周囲の協力を得ながら調整します。

産後の場合

産後は、母親になるという重圧、育児という仕事が加わり、女性の生活環境は大きく変化します。そのストレスが産後のうつ病の原因になっていることがあるので、負担を軽減するための育児のサポートが必要です。しかし、現実には配偶者や親などの家族だけでは十分な育児支援ができないこともよくあります。各地の子育て支援センターなどで相談し、支援を受けることが大切です。

産後のうつ病は、出産した女性の約10%に起こると言われています。親にうつ病が起こると、育児の質の低下や、時には養育怠慢や虐待につながる恐れもあります。そうならないためにも、周囲の適切なサポートが必要です。

更年期の場合

更年期はホルモンのバランスの変化に加えて、子どもの自立や親の介護などによる環境の変化が生じます。こうしたストレスによる患者さんの負担を軽減するために、周囲の人は家事や介護を分担するなどしてサポートしましょう。

また、更年期は老年期に向かう時期でもあるので、新しい生きがいを周囲の人と一緒に探していくことも大切です。

高齢者の場合

高齢者のうつ病では、「食欲の低下」などの身体症状や、「物忘れ」などの症状が現れることがよくあります。こうした症状を、年だから仕方がない、と決めつけず、うつ病かもしれないと受診を勧めることが周囲のサポートとして大切です。

日頃からコミュニケーションをとって、いろいろなことを話せる関係を築いておきましょう。そうすることで、変化を見逃すことなく、受診を勧めることができます。

また、こうした家族単位の取り組み以外に、医療機関や地方自治体、ボランティアなどの連携による、地域ぐるみのサポート体制も重要です。

鍼灸治療

鍼灸治療でもうつ病の患者さんは来院され、治療を行っていきます。しかし、うつ病の治療を行うのに「鍼灸だけでよい」ということはありません。あくまでも、病院の治療と併用するという形で治療を行っていくことになります。

これは治療効果の面もそうですが、「患者さんの自殺を防ぐ」という意味もあります。うつ病というのは誰しもがかかってしまう可能性のある病気で、「心の風邪」などと表現されることもありますが、自ら命を絶ってしまう危険性も含んでいるため、できる限りそのリスクを抑えなければならないからです。

鍼灸治療ではうつ病に対して、「体の治療」と「心の治療」を行います。しかし、優先度としては心よりも体の治療を上位に置くことが多いです。これは東洋医学では体と心は別物と分けて考えることはなく、あくまでも心身一如であるという考えから来ています。うつ病は心の疾患ではありますが、体が元気でなければ心が癒されることはないからです。

まずは問診をしっかりととっていくことから始まります。いつから、どのような状態で、どんな生活を送り、それによりどう変わってきたのかなど、かなり詳しく話を伺います。そのため、問診の時間が長くなることも少なくありません。

その上で、体に起こっている症状を一つひとつ丁寧に治療していくことになります。特に「食欲・便通・睡眠」は重要です。これらがうまくいっていない場合はなかなかよくなってこないことを経験しているからです。

食欲についてはおへそとみぞおちの中間にある「中脘」や、足の脛にある「足三里」などを、便通についてはおへその下方にある「関元」、睡眠についてはかかとの真ん中にある「失眠」などのツボを使います。それぞれに鍼やお灸などを行っていきます。

うつ病・関元・足三里

また、それ以外に肩の凝りや腰痛、冷え性や頭痛、など患者さんに現れている症状に合わせて治療を加えていきます。

そして、精神疾患によく反応が現れる部位として「肩甲間部」があり、そこに鍼や灸を行うことがあります。左右の肩甲骨の間にある「心兪」「膈兪」「肝兪」といったツボは精神疾患やストレスが強いときなどに圧痛点が現れやすくなっているのです。灸頭鍼などを行い、体を温めていくこともあります。

このように、その患者さんに合わせて全身のツボを使いながら治療を行い、また、治療中には患者さんの話をじっくりと聴けるところが鍼灸治療のメリットでもあります。治療には数十分かかりますので、その間、しっかりと患者さんの心のうちにたまっていることなどを聴くことで、少しでも気持ちが楽になるようにしていきます。

症例

30歳代・男性

半年前にうつ病を発症し、休職中であるという患者さん。何とか体をよくして職場に戻りたいと希望され、病院での薬物療法と併用する形で鍼灸治療も希望されて来院されました。

初診時にはかなり長い時間をかけて問診を行い、どのような状態であるのか詳しく話していただきました。ご本人の希望としては早めに職場復帰したいとのことでしたが、お話を聴く限りはしばらくはしっかりと休んで、体を治すことを優先されたほうがよいと考えることを伝えます。通われている病院の医師からも同様の意見を伝えられていたようで、しっかり治すことを優先すると言われ、治療を開始しました。

問診後に腹診を行うと、「元気のないお腹」をしています。元気な体であれば腹部を手の平で押さえたときに、適度な反発と柔らかさを伴っているものです。しかし、元気がない場合は、押さえても反発せずベロンとしている感じで、お腹がドクドクと拍動していることが多いです。この患者さんもそのような状態でした。

まずは体に活力が戻るように治療を行っていきます。お腹や手足に鍼を刺して、しばらく放置する置鍼を行います。その後、不規則になっているという睡眠を改善するためにかかとの真ん中にある「失眠」というツボに熱さを感じるまでお灸をすえていきました。

また、肩甲間部を中心に鍼を行い、鍼の上にもぐさを付けて灸を行う灸頭鍼を行っていきました。

その後、定期的な治療を行っていると、だんだんと症状が改善していき、日常生活でも動く意欲が高まってきたといいます。

しかし、ある時、急にまた体調が悪くなりました。どうしたのかと尋ねると、体調がよくなってきたときに「もう大丈夫だろう」と考えて、仕事に戻ろうとされたようです。会社からも「もう少し休んでいたほうが良いのではないか」と言われたようですが、1日2~4時間という短い勤務なら大丈夫だろうと思って復帰されたようです。ですが、その後は再びうつ病の症状が悪化して休職することになりました。

このように、しっかりと治った状態でないにも関わらずに頑張ってしまうと、元の状態に戻ってしまうことがあるということをもう一度説明し、何よりも焦らずにしっかりを体を治すことに専念しましょうといい、再び治療を開始することになりました。

その後、1年しっかりと治療を行い、医師からも同意を得て、現在は元気に働くことができるほどに回復されています。

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