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首の痛みふたば鍼灸院(大阪市の鍼灸院)

人間の体は首の骨の上に頭がついています。あまり頭の重さを気にすることはないと思いますが、実は頭部だけでも7~8kgほどの重量があります。その重さのものを小さな首の骨で毎日支えているため、自分が思っている以上に首には負担がかかっています。この首の骨に障害が出たり、姿勢が悪かったりすると、首に痛みにつながってしまいます。これらの痛みは鍼灸治療がよく効きますので、治療を行い、痛みのない生活を送りましょう。

首の構造

「脊柱(背骨)」は「椎骨」という骨が積みかなさった構造になっており、椎骨と椎骨の間には「椎間板」という軟骨があります。

脊柱の1番目から7番目までの、首の部分に当たる椎骨を「頚椎」といいます。頚椎には、中枢神経の1つである「脊髄」が通り、脊髄から枝分かれした末梢神経が手のほうに伸びています。この末梢神経の根元を「神経根」といいます。

複雑な構造をもつ首は、7~8kgもある重い頭を支えながら、前後左右に動きます。それだけに痛みが起こりやすい部位だと言えます。

頚椎の構造

首の痛みの原因

首の痛みの多くは、筋肉の緊張や疲労が原因で起こる、心配のない痛みです。ただし、首の骨の病気が原因で痛みが起こっている場合や、神経根や脊髄などの神経が圧迫されて痛みが起こっている場合は注意が必要です。

首に原因がある場合

首の骨に次のような病気があると、安静時にも首が強く痛み、日を追うごとに痛みが増していきます。

・脊髄腫瘍…脊髄にできる腫瘍で、多くはほかの臓器に生じた「がん」が転移して起こります。

・感染性脊髄炎…体のどこかで感染症を起こした細菌などが血流にのって頚椎へ運ばれ、感染して炎症を起こします。首の痛みに発熱を伴います。

・骨折…事故やスポーツなどで首を骨折すると、強い痛みが生じます。

神経根への圧迫が原因の場合

頚椎の病気によって神経根が圧迫されると、首の痛みに加えて手の痛みやしびれが起こるようになります。これを「神経根症」といい、圧迫が強い場合は「手に力が入らなくなる」などの麻痺症状が現れることもあります。神経根が圧迫される代表的な病気には、「頚椎椎間板ヘルニア」や「頸椎症」があります。

・頚椎椎間板ヘルニア…加齢などによって、椎間板がつぶれたり、「線維輪」に亀裂が入ると、「髄核」が飛び出して神経根を圧迫し、首に痛みが生じます。

・頸椎症…加齢によって椎間板が変性知ったり、椎骨と椎骨をつなぐ「椎間関節」が変形したりする病気です。椎骨の縁に骨棘というとげのようなものができ、これが神経根を圧迫すると症状が現れます。

脊髄への圧迫が原因の場合

脊髄は、手や足へ枝分かれする神経の「幹」です。脊髄が圧迫されると首の痛みに加えて、手や足にもしびれや麻痺が現れます。これを「脊髄症」といいます。

脊髄が強く圧迫されると、多くの場合、首の痛みが現れた後に指先がうまく使えなくなったり、脚が上がらず、つまずきやすくなったりします。さらに進行すると、「頻尿」「残尿感」「便秘」といった排泄障害が起こることもあります。

こうした症状があるときに、転倒したりして首に衝撃を受けると、脊髄が損傷して手足がマヒしてしまい、回復が難しくなることもあります。そのため、早めに病院を受診することが大切です。

主に次のような病気が原因になります。

・頚椎椎間板ヘルニア、頸椎症…飛び出した髄核や、骨棘が、脊髄を圧迫することがあります。

・脊髄腫瘍…脊髄にできる腫瘍で、その多くは良性です。ただし、腫瘍が大きくなると脊髄を圧迫するため、首の痛みに加えて手足のしびれが現れます。

・後縦靭帯骨化症…椎骨と椎骨をつなぐ薄くて軟らかい後縦靭帯が、骨のように厚く、硬くなる病気です。骨化した靭帯が脊髄を圧迫すると、症状が現れます。

検査と診断

最初に問診を行い、症状と手や腕の動きを詳しく調べる検査が行われます。頚椎から出る神経根は左右に8対あり、各神経根が支配している範囲が異なるため、患者さんの症状の訴えから障害されている神経根が分かることもあります。

例えば、7番目の神経根は、肘を伸ばす筋肉を支配しています。障害があると、力が弱くなるため、曲げた肘を伸ばす力を左右で比べて調べます。手の中指がしびれるときも、この神経根が障害されている可能性があります。

脊髄症が疑われる場合は、「手を握る、開く」動作をできるだけ早く繰り返す検査を行います。健康な人では10秒間に20回以上できますが、20回以下であれば脊髄が障害されている可能性があります。

さらに、エックス線撮影や「MRI(磁気共鳴画像)検査」などの画像検査を行って、痛みの原因を診断していきます。

西洋医学的治療

首の痛みを和らげる治療には、大きく分けて「生活指導」「保存療法」「手術」の3つがあります。

筋肉の疲労やコリによる首の痛みは、生活指導と保存療法を行い、手術をすることはまずありません。神経根症の場合も、約90%が保存療法で改善されます。脊髄症で、手足のしびれなどの症状がつよいときは、手術が必要になることもあります。

原因となる病気が脊髄腫瘍の場合は、もととなったほかの臓器の腫瘍の治療と並行して放射線療法などが行われます。脊髄腫瘍の場合は、手術で取り除くのが基本です。感染性脊椎炎の場合は「抗菌薬」などを使った治療法が行われます。

生活指導

首の負担を軽減するには、日常生活で姿勢などに注意することが大切です。

まずは、首に負担をかけない姿勢をとるようにしましょう。首が後ろにそった状態の姿勢を長時間とり続けていると、脊髄や神経根が圧迫され続けるため、首の痛みを悪化させてしまいます。

首の運動も痛みの軽減に有効です。関節を柔らかくするストレッチや、首の周りの筋肉を鍛えて痛みを出にくくする運動などがあります。

ただし、運動は無理をせず、自分のできる範囲で継続することが大切です。首に強い痛みがあるときや、手や足にしびれがあるときに運動を行うと、症状が悪化することがあります。

・日常生活の注意

首に負担をかけないよう、できるだけ重いものを持たないようにして、首や肩を冷やさないようにします。飲酒は炎症を悪化させるため、控えましょう。

保存療法

首の痛みを和らげる保存療法には「薬物療法」「装具療法」「理学療法」「神経ブロック」があります。神経への圧迫そのものを取り除く治療法ではありませんが、治療によって神経の炎症が治まることで、痛みが改善されます。

薬物療法

炎症を抑える薬や筋肉の緊張を和らげる薬などを用いますが、主に神経に原因がある場合と筋肉に原因がある場合では用いる薬が異なります。痛みが強い場合は、炎症を強力に抑える「ステロイドホルモン」を用いることもあります。

薬によっては「胃が荒れる」「血糖値が上がる」といった副作用が起こることがあります。「胃潰瘍」や「糖尿病」がある人は医師と相談して薬を使用しましょう。

装具療法

首の動きを制限して安静を保つとともに、保温するために「頚椎カラー」を使います。頚椎カラーにはいくつかのタイプがあり、保存療法では、緩めのものを2~3週間ほど装着します。

理学療法

・牽引療法…専用の器具で首を引っ張ります。神経根症に有効な治療法です。

・温熱療法…首や肩周辺に「超短波」などを当てて温めることによって血流を改善し、痛みを軽減させます。

神経ブロック

神経ブロックは、痛みがある部位に「局所麻酔薬」を注射して、一時的に痛みをなくす治療法です。薬物療法や理学療法などで症状が改善されない場合に行われることがあります。

痛みが続くと血流が低下して疲労物質が排出されにくくなり、さらに痛みが強くなるという痛みの悪循環が起こります。痛みを抑える薬の作用は数時間でなくなりますが、神経ブロックは痛みの悪循環を一度断ち切るので、比較的長く痛みを緩和する効果があります。

首の痛みに対する神経ブロックは「トリガーポイント注射」「硬膜外ブロック」「神経根ブロック」「星状神経節ブロック」などの方法があります。

手術

保存療法で十分な効果が得られない場合は、手術尾を検討します。

脊髄には、圧迫されると元に戻りにくいという性質があります。脊髄が圧迫された状態を放置すると、脊髄が損傷され、手術を受けても回復が見込めなくなることがあります。そのため、脊髄症による症状がある場合は、手術によって圧迫を取り除く治療を行います。

手術の方法には「椎弓形成術」「前方除圧固定術」「骨化摘出術」の3つがあり、原因となっている病気や、脊髄が圧迫されている範囲によって選択されます。

頸椎症や後縦靭帯骨化症などで脊髄が広く圧迫されている場合は、椎弓形成術が行われます。脊髄が通っている「脊柱管」を広げて脊髄への圧迫を取り除く方法で、「片開き式」と「縦割式」の2つの方法があります。

頚椎椎間板ヘルニアや頸椎症、後縦靭帯骨化症などで、脊髄への圧迫が1~2か所と部分的な場合は、前方除圧固定術や骨化摘出術が行われます。圧迫の原因になっている髄核や骨棘と、その周辺の椎体や椎間板などを一緒に摘出し、圧迫を取り除きます。

鍼灸治療

首の痛みに対しては鍼灸治療も効果があります。鍼灸治療も分類としては保存療法の中に含まれます。

首の骨というのは常日頃から負担がかかっており、画像検査などを行えば多くの人に骨の変形などが見られます。しかし、骨の変形が画像で確認できてもそれがイコール首の痛みの原因であるとは限りません。例えば手術を行って骨を摘出したにもかかわらず、痛みは相変わらず続いているというケースもあるからです。

そのため、何らかの所見が見られた場合であってもまずはしっかりと保存療法を行って手術は最後の手段として考える方が良い場合が多いです。鍼灸治療を行って痛みを改善していると、首のヘルニアの飛び出していた部分がもとに戻ったということもあります。

鍼灸治療では全身のバランスをとるように行っていきます。首の痛みで来院された患者さんであってもほかの部位にも鍼や灸を行います。

これは首の痛みがあると、それをかばうように変な姿勢になって腰や足にも負担がかかっているということが多いからです。また、猫背になっていると内臓へも負担がかかってしまうことがあります。食べたものをしっかりと消化吸収できるように胃腸の調子が改善するツボなども使用していきます。

首に対しては患者さんに問診をとって、どこが一番痛むのか、どうしたら楽になりやすいか、あるいはどうすると痛みやすいか、などを確認し、触診を行って筋肉の状態なども見ながら鍼や灸を行っていきます。

後頸部にある「天柱」や「風池」といったツボや、「肩井」「天宗」「心兪」などに鍼をしていきます。針の先にもぐさを付けて温める灸頭鍼を行うこともあります。

肩凝り・天柱・天宗・肩井・手三里

さらに首の筋肉を緩めるために腕に対しても鍼や灸を行います。肘にある「曲池」や肘の下にある「手三里」などがよく使用されます。また、首から腕にかけて痛みやしびれがある場合には、その部位に対しても鍼や灸を行っていきます。

足の脛にある「足三里」や「豊隆」、かかとにある「失眠」なども首の筋肉を緩める働きがあります。足三里などは胃腸の調子を改善するツボでもあり、よく使用します。

また、痛みやしびれがずっと続いているという場合には皮内鍼を行うこともあります。小さな鍼を皮膚に沿わせて刺してテープで留める治療法で、数日間なら貼ったままにしておけます。皮内鍼を入れていることで、ツボに対して持続的な刺激を与えることができ、痛みの軽減効果を持続させることが可能です。

症例

70歳代・女性

60歳代のころから首から腕にかけて痛みが出始めたといいます。しばらくいろいろな治療法を行ったそうですが痛みが続き、数年前に手術を行うことになったといいます。

首の骨の一部を切り取り、切除する手術を行い、圧迫されている神経が圧迫されないようになりました。しかし、首から痛みにかけての痛みやしびれはほとんど変わらずに残ってしまったそうです。

頚椎を切除しているため、牽引も行えないということで鍼灸治療で何とかならないかと来院されました。問診をとってから、腹診や脈診を行い全身に鍼や灸を行っていくことにします。

手や足、腹部に鍼を刺してしばらく休んでもらう置鍼を行った後、うつぶせになって失眠に対して灸を行いました。この失眠は首の筋肉の緊張を緩める効果があると同時に不眠症にもよく効きます。この患者さんは夜よく眠れないという訴えもありました。

さらに首や肩、腕を触診し、痛みが強いという場所に鍼をしていきます。最後に首から背中を灸頭鍼で温める治療を行いました。

治療を行うことで、痛みやしびれはかなり改善されたようです。ただ、家事をすると負担がかかるようで再び痛みが現れてきます。そのため、定期的に治療を継続していくこととなりました。

当初は腕が痛くしびれていたので、包丁を持つのもしんどいと言っていたのが、数か月後には痛みがあっても包丁を持つのがそこまで負担にならないという程度まで改善されました。

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