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糖尿病に対する鍼灸治療ふたば鍼灸院(大阪市の鍼灸院)

糖尿病とは

糖尿病の患者さんと、糖尿病が強く疑われる人は、全国で合計2000万人を越え、ここ10年ほどで840万人も増えています。しかし、このうち治療を受けている人は3~4割に過ぎず、残りの6~7割の人は検査も治療も受けていないと言われています。

糖尿病というのは、血液中のブドウ糖(血糖)の量が慢性的に高い状態を指します。

本来、血糖は膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンの作用によって体内で利用され、血糖値は一定の範囲内に保たれています。ところが、糖尿病では血糖が多すぎる状態(高血糖)になり、それが持続します。その結果、全身の血管が徐々に傷つけられ、合併症を起こすようになります。

糖尿病は1型や2型などいくつかのタイプに分類されます。1型は自己免疫などを原因として発症するもので、日本では糖尿病全体の1~3%と少数です。近年、中高年に増加している糖尿病は生活習慣が原因で起こる2型糖尿病です。

自覚症状がない

糖尿病の自覚症状は「のどが渇いて水をよく飲む」「尿量が増える」「体重が減る」などですが、これらが現れるのは糖尿病がかなり進行してからです。初期に気がつくためには検査によって血糖値などの数値が高くなっている時ですが、この時には症状が自覚できていないことが多いのです。そのため、「症状がないから治療もしなくていい」と考えてしまう人がいますが、これは間違いです。糖尿病は初期からきちっと対応するほうが、その後の合併症などを防ぐことができます。

血糖値が上がる原因

食事でとった炭水化物は、消化の過程でブドウ糖に分解されます。ブドウ糖は小腸で吸収されて肝臓に蓄えられ、必要な分だけが血液中に放出されます。

この仕組みは、膵臓から分泌されるインスリンによるものです。インスリンが正常に働くことによって、ブドウ糖は肝臓や筋肉、脂肪組織などに取り込まれ、エネルギー源として利用されます。

血糖値を一定の範囲内に保つには、インスリンの作用が必要不可欠です。ところが、次のような理由でインスリンの作用が不足すると、血糖値が上がります。

・インスリンの分泌量が少ない、または分泌が遅い…これには体質が大きく関係していると考えられています。ただし、遺伝的要因があればだれもが糖尿病になるわけではなく、そこに生活習慣の乱れが重なって、初めて糖尿病に進行します。

・肝臓や筋肉でインスリンが十分に働かない…ブドウ糖はインスリンの働きで全身の細胞に取り込まれます。食べすぎや運動不足などの生活習慣は、内臓脂肪を蓄積させ、インスリンが十分に作用しない「インスリン抵抗性」という状態を招きます。すると、ブドウ糖がうまく利用されなくなり、血糖値が上昇してしまいます。

検査と診断

糖尿病を早期に発見するには、定期的な検査が必要ですが、特に「糖尿病の自覚症状がある」「尿糖検査で陽性だった」「父母、兄弟姉妹に糖尿病の人がいる」「肥満がある」「中高年(30歳以上)」に該当する人は、リスクが高いと考えて積極的に検査を受けましょう。

血糖値を調べる検査

血糖値の検査には「空腹時血糖値検査」と「ブドウ糖負荷試験」があります。

・空腹時血糖値検査…10時間以上絶食し、空腹の状態で採血して血糖値を調べるものです。職場や自治体の健康診断などで一般的に行われています。

・ブドウ糖負荷試験…10時間以上絶食した後に75gのブドウ糖を溶かした液体を飲み、30分後、1時間後、2時間後に採血し、血糖値の変化を調べます。ブドウ糖を食事に見立てて、食後の血糖値の変動をみるものです。

糖尿病の診断のための基準

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)値

血液中の赤血球の成分である「ヘモグロビン」には血糖値に応じてブドウ糖が結合します。それを利用したのが「HbA1c」の測定です。HbA1cは日常生活のもとでの血糖値の高さの平均値を現します。

過去約1~2か月間の平均的な血糖値の状態を反映することから、その時々の変動してしまう血糖値の検査だけではわからない、血糖コントロールの平均的な状態を知るための指標となっています。

糖尿病の診断基準HbA1c

糖尿病の合併症

糖尿病は、さまざまな合併症の危険性を高めます。高血糖の状態が長く続くほど、合併症は起こりやすくなります。

高血糖で細い血管が障害されると、糖尿病の3大合併症である「糖尿病網膜症」や「糖尿病神経障害」「糖尿病腎症」が起こりやすくなります。

また、太い血管が障害されると「動脈硬化」が進行し、「狭心症」「心筋梗塞」「脳梗塞」「閉塞性動脈硬化症」などを招きます。太い血管に起こる動脈硬化は、糖尿病までは至らないものの、血糖値が高めの「糖尿病予備軍」の段階から進行することが分かっています。これらの病気は命にかかわることもあるので、何よりも予防が重要です。

同様に注意が必要なのが、「急性合併症」と呼ばれる「糖尿病昏睡」や「感染症」です。糖病病昏睡は、インスリンの極端な作用不足によって起こるものです。ひどい場合は、「意識がもうろうとする」「意識を失う」などの意識障害が起こり、速やかに適切な治療を受けないと命にかかわります。感染症は江免疫の働きの低下によるもので、「風邪」「肺炎」「尿路感染症」などが起こりやすくなります。

糖尿病の合併症

治療の基本

糖尿病の治療の基本は「食事療法」「運動療法」「薬物療法」です。これらを組み合わせて血糖コントロールを行います。

食事療法

食事をしたあとは血糖値が上昇します。その状態が長く続くほど、血管に負担がかかり、合併症の危険性が高まります。

そこで、食後の血糖値の急上昇を抑えたり、高い状態が持続するのを避けるような食べ方を工夫する必要があります。

糖尿病の食事療法では、1日の適正摂取エネルギー量の範囲を守り、栄養バランスのとれた食事をとります。献立選びには「食品交換表」を利用すると、さまざまな食品のエネルギー量や含まれる栄養素の量が分かって便利です。

量と栄養バランス、そして食べる時間などに気を付けて食事を楽しむようにしましょう。糖尿病の治療で最も大切なのがこの食事療法です。きちんと理解して、しっかりと取り組むことが大切です。

運動療法

食事療法と並び、かかすことのできないのが運動療法です。運動療法には「インスリンの働きの改善」のほか、肥満の解消、血圧や血中脂質の改善など、多くのメリットがあります。

ただし、運動療法によってかえって体によくない影響が出ることもあります。運動する前は指導医に確認をとったほうがいいでしょう。

運動を始める前に「心電図検査」「眼底検査」「尿検査」「血圧測定」などに加えて、病状や合併症の有無、進行度の程度などが調べられます。その上で、どんな運動を、どれぐらいの強さで、どれぐらいの時間行えばよいのかを指示されます。

また、血糖値が極端に不安定なときや、体調が悪いときには無理をしないようにしましょう。運動中に「胸痛」「呼吸困難」「腹痛」「吐き気・嘔吐」などの症状が現れた場合には運動は中止しましょう。

薬物療法

食事療法と運動療法を行ても血糖値が十分にコントロールできないときや、速やかに血糖値を下げる必要があるときには薬物療法がおこなわれます。

糖尿病の治療薬には、大きく分けて飲み薬の「経口血糖降下薬」と、注射薬の「インスリン製剤」などがあります。

経口血糖降下薬はスルホニル尿素薬などがありますが、これは低血糖を起こしやすいという点に注意が必要です。低血糖になりにくい薬もあるので、患者さんによって使い分けていきます。

インスリン製剤は、自分で注射して不足しているインスリンを体外から補うものです。作用の持続時間によって「超速効型」「速効型」「混合型」「中間型」「持効型溶解(持続型)」などに分けられ、これらを組み合わせて用います。

・インクレチン療法

インクレチンとは、小腸などから分泌される、インスリンの分泌を促す作用があるホルモンの総称です。インクレチンの特徴として、血糖値が高いときだけ血糖値を下げる働きをして、血糖値が高くなっていないときには何もしません。そのため、低血糖がほとんど起こらないとされています。

鍼灸治療

糖尿病の患者さんが鍼灸院に来院されることは珍しくありません。それぞれの患者さんに合わせてた治療を行っていきます。

「血糖値下げる治療」もありますが、主に行うのは「全身治療によって糖尿病を進行させない」ということになります。

糖尿病の初期で検査によって血糖値が高く出たものの、自覚症状がないという場合、一般的な治療は食事療法と運動療法です。この食事療法と運動療法で血糖値が改善して、それを保つことができれば薬を使わずに済むからです。ここに鍼灸治療も加えると、さらに血糖値を下げることができます。

高くなった血糖値を下げるには「通電療法」が効果的です。鍼を刺し、その鍼に端子をつなげて通電します。なるべく大きな筋肉へ通電するために下肢を通電することが多いです。通電療法を継続していると血糖値が低下しやすくなります。

血糖コントロールがうまくいっている患者さんに対しては、全身治療を行い、症状の進行を防ぎます。また、体に現れている症状に対しても治療を行っていきます。

東洋医学では五臓六腑がバランスよく働くことで全身の機能が保たれていると考えます。もし、この働きのバランスが崩れてしまうと肉体にさまざまな影響が現れます。五臓には「肝・心・脾・肺・腎」があります。このうち、インスリンを分泌する膵臓というのは「脾」に含まれています。脾は胃とも関連が深く、脾胃の働きは消化吸収をつかさどっています。さらに、脾の働きが悪くなると腎にも影響が出るとされています。そこで、鍼灸治療ではこの脾胃腎の影響を与えやすいツボなどを使用して治療を行っていきます。

消化吸収に対してよく効果のあるのは、おへそとみぞおちの間にある「中脘」やおへその外にある「天枢」、その下にある「太巨」などです。これらのツボに10分ほど鍼を刺したままにしておく置鍼を行ったり、灸をしたりします。

さらに、足にも脾胃に関係したツボがあります。足の内くるぶしの上方にある「三陰交」は足の太陰脾経という経絡(ツボの通り道)にある重要なツボで、多くの疾患に用いられます。また、足の脛にある「足三里」も胃に対して高い効果のあるツボです。これらに鍼や灸を行います。神経障害があり、足に痛みやしびれが出ているという場合には、鍼の先にもぐさをつけて温める灸頭鍼を行うこともあります。

糖尿病・中脘・太巨・三陰交・足三里・脾兪・腎兪

また、腰にも脾に関係したツボがあります。ちょうど背中と腰の境目あたりで、背骨の外方に「脾兪」というツボがあります。ちょうど膵臓の背中側に当たるくらいの高さとなり、ここへ鍼や灸を行います。脾兪の下方には「腎兪」というツボもあるので、こことあわせて灸頭鍼や箱灸で全体的に温めていくこともあります。

そのほか、食事療法などでつい食べ過ぎてしまうという人に対しては、食欲を抑えるために耳つぼ療法を行うこともあります。それ以外にも体に症状が現れている時には一緒に治療をすることで、健康な体を維持していきます。

症例

40歳代・女性

以前から糖尿病があるという患者さん。最近になって足の裏に痛むようなしびれるような感覚が現れたといいます。糖尿病があることから、軽度の神経障害としてのしびれと診断されたといいます。

もともと、肩凝りや腰痛で鍼灸治療を受けられておられたので、それに合わせて足裏のしびれに対しても治療を行うことにしました。

うつぶせで足の裏を触って感覚を聴いていきます。足の裏の中でも、指の付け根のあたりに違和感があるとのことでした。そこで付け根部分に対して灸をすえることにしました。

通常であれば灸をすれば熱さを感じます。が、灸してもあまり熱くないといいます。そこで、熱さを感じるまで何壮も灸をすえることにしました。

全身治療とあわせて、この足裏の灸も続けていきました。来院されるたびに、しびれの感じを確認していましたが、しばらくは特に変化がなく同じようなしびれが続いていました。数か月ほど継続していると、少しずつマシになってきているようだと、変化が見られるようになり、1年近く継続して灸を続けているとようやく、しびれや痛みがなくなりました。

神経障害などの痛みやしびれは長引くこともありますが、しっかりと治療を続けていれば改善されていきます。諦めずに治療を続けることが大切です。

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